細工卵

「少年アリス」 長野まゆみ

アリスは部屋の燈(あかり)を消して月光の射す、
織り模様のついた敷布の上に創り上げたばかりの石膏の卵を置いて眺めていた。
磨き上げた表面は光を浴びて鍾乳石のように瑞々しく光っている。

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